IT業界の仕事とは/通信のスペシャリスト、ネットワークエンジニア
ITとひとことで言えども、分野も職種も様々。
具体的にどんな分野があってどんな仕事をしているのかを、
業界初心者が同じ目線でレポートしていきます。
...パソコンの仕事でしょ??
ってとこから一緒に抜け出しましょう^^
このページの内容
コンピュータの通信について
・プロトコル
・パケット交換技術
使われる知識や技術
・OSI参照モデル
・TCP/IP
・認定試験
通信について
コンピュータは、登場したての頃は巨大で
お値段も高く、操作も難しく、そうそう気軽に導入して
使えるものではなかったといいます。
計算したいデータがあったら、
それを持ってコンピュータとそれを扱える
オペレーターさんのところに持っていき、
頼んで処理してもらっていたそう。
その後小型化し、使いやすく進化していったことで、
会社組織などにも導入され、コンピュータの台数も
増えていきました。
コンピュータの数が増えると、
コンピュータ同士でのやりとりが必要になってきます。
そこで通信技術の出番というわけです。
コンピュータ同士での会話
コンピュータ同士のやり取りは、よく人間同士の会話に例えられます。
日本語しか話さない人と、英語しか話さない人では
意思疎通できませんよね、といった感じで、
同じ概念・単語や文法などの決まりの中で
やり取りされるのと似ています。
人間が会話でやりとりする時に、
両者のことばの種類や単語・文法などの
決まりが同じものを使うように、
コンピュータ同士がやり取りする時の決まり―約束事
のことを、「プロトコル」と呼びます。
人間が会話する時は、聞こえなかったら聞き返したり、
多少言葉が足りなくても予測して補完しながら話したり、
言葉の使い方を工夫しながら会話することができますが、
コンピュータはそうはいきません。
ですので、このプロトコルをしっかり決めて、
通信に必要な機能をしっかり
プログラムしておかなければなりません。
万が一通信中に何か不具合が起きて
うまくいかなかった場合にどうするか...
起こりうる障害を想定して、実際直面したときに
しっかり処理できるようにしておきます。
手のかかるやつですね←
パケット交換技術について
離れたコンピュータともやり取りできる、
直接繋がないタイプの接続技術があります。
データをこま切れに分割して送り、受け取った先で元に戻す
「パケット交換技術」と呼ばれるものです。
パケットは”小づつみ”の意味で、
宛先の書かれた郵便物に例えられます。
データの送り先や、細切れにされたデータを
もとに戻す方法が書かれているんですね。
それから通信経路の途中に、そのパケットを
集めたり配ったりして郵便屋さん的に中継してくれる
役割を果たす「ルーター」と呼ばれるものが登場しました。
郵便屋さんも宛名を読めないと
どこに届ければいいか分からないので、
コンピュータと同じことば―プロトコルを理解します。
はじめは2台直接繋いで1on1のやり取りをしていたので、
その2つのコンピュータが同じ言葉を
理解できればそれでよかったんです。
親友にだけ通じる合言葉みたいなイメージでしょうか。
ですが、パケット交換技術が登場して、
離れたコンピュータとも通信できるようになり、
いろんなタイプのデータのやり取りに
応用できるようになったことで、
プロトコルが複雑になってしまったそうな。
そこで通信を種類ごとに分けて段階を設定し、
それぞれ違うプロトコルを作って使うようにすることで、
プロトコルを単純にしようということになりました。
そして、コンピュータが普及するにつれて、
それまでは同じメーカーでしか通信できなかったところから、
メーカーが違っても通信できないと困ってしまう状況に。
そこから、異機種での互換性が叫ばれるようになり、
プロトコルの”標準化”が進みました。
誰がどのパソコン使ってても、
誰とでもやりとりできるようにしてくれよってことですね。
知識や技術
通信技術の段階分けその1
通信技術を第1層から第7層まで7段階に分けた、
「OSI参照モデル」とよばれるものがあります。
ネットワークエンジニアが担当するのは、
そのうち2~4層あたりのよう。
第2層
第2層では、直接つながったコンピュータ同士の
プロトコルが定められています。
交換日記書いて、隣の人に直接渡すイメージでしょうか。
コンピュータには、世界でひとつしかない固有の番号
=MACアドレスと呼ばれるものを製造時から割り振られているので、
これを識別してデータをやり取りします。
(残念ながら、欠けたりんごのマークもハンバーガーも見当たりませんが←)
第3層
第3層では、上記のパケット交換技術で
離れたコンピュータ同士でデータのやり取りをする上での
プロトコルが定められています。
データの宛先を管理し、どの道順で届けるかを選択、
送信側から受信側までパケット―宛先の書かれたデータ
を届ける郵便配達のような役割を果たします。
第4層
第4層では、第三層で送られたデータが宛先のうち
どのプログラム宛かを判断して渡します。
郵便物で言えば、第3層では家まで届き、
第4層では届いた家の中で、受け取った人が名前を見て
家族のうち本人に手渡すイメージです。
ここでのネットワークエンジニアは
物理的な接続ではなくソフト寄りで、
確実にデータを届ける&受け取るという
通信の基盤の部分を担当します。
通信技術の段階分けその2
国際基準ではないのですが、実用性が高く急速に広まった、
TCP/IPと呼ばれるプロトコル群があります。
実際にTCPというプロトコルとIPというプロトコルはあるのですが、
「TCP/IP」と言うときは、このモデルで使われる
プロトコル一式のことを指すようです。
こちらは段階的には4層くらいに分けられていますが、
よく聞かれそうなものだけ抜き出してみますね。
宛先までの道案内
上記OSI参照モデルで言えば第3層にあたる、
パケットを配送する時のプロトコルを「IP」といい、
めちゃくちゃ重要な役割を任されているやつがいます。
パソコンをネットに接続する時に、
「IPアドレス」というのを聞いたことはありますか。
これは、ネット上でのパソコンの宛先住所になり、
これを頼りに通信、パケットは運ばれます。
道案内役であるルーターは、このIPアドレスを見て、
宛先のある方面に送り出します。
どの方面に送るのか、どの道順で送るのか決めることを
経路制御=ルーティングと呼びます。
パケットは、いくつもの中継地点を通って配送されます。
ルーターは、最終的な宛先に届けるために、
とりあえず次どこに向かわせればいいかを案内して、
それがつながってパケットは配送されていきます。
道案内方法
ルーティングの仕組み(アルゴリズム)は二つほどあるよう。
ひとつは、宛先の方向とそこまでの距離の情報を使う
「距離ベクトル型」。
RIPとよばれるプロトコルがあるようです。
もうひとつは、ネットワーク全体の状態を把握して
お届けルート決める「リンク状型」。
OSPFと呼ばれるプロトコルがあるようです。
ネットワークを繋ぐネットワーク
また、インターネットは組織のネットワーク同士がつながって
結果的に世界中がつながるでっかいネットワークになっています。
ネットワークごとに決まりは異なるので、
言葉も宗教も違う組織が通信しているような感じです。
ですので、組織の内部で通信する場合と、
組織の外部と通信する場合が出てきます。
そうなると、同じ組織内での会話と、外と会話するのでは
言葉が違うのは当然になりますね。
組織内でやりとりするときのプロトコルをIGPといい、
外部でやりとりする時のプロトコルをEGPといいます。
また、ネットワークがたくさんできると、
そのネットワークの集団を束ねる存在が必要になりました。
国―地方―県―市―...みたいなまとまりが必要になったんですね。
そこで、組織間のネットワークを接続する時には
BGPと呼ばれるプロトコルが使われています。
BGPは外部でのやりとりなので、EGPの一種です。
BGPは、ネットワークのまとまりを
ひとつのものとして扱います。
上記の例で言えば、市とか県でくくって
名前をつけるイメージです。
例の中で市や県にあたるものをASと呼び、
東京都とか千代田区みたいにつける名前を
AS番号と呼びます。
郵便番号みたいなポジションですかね。
通信調整のタイプ
IPより一つ上の、トランスポート層と呼ばれる層で
使われるプロトコルが二つほどあります。
ひとつはTCPと呼ばれ、データを確実に送る役割を
果たすときに使われるプロトコルです。
送り先の空き容量を確認したり、応答を待ったり、
応答がなかったら送るのをやめたり、
ネットワークに負荷をかけないように
いきなり大量にパケットを流したりしないよう、
細かく調整してくれているようです。
高速通信でなくてよくて、ある程度しっかり届いてほしいもの―
メールを送ったりするときに向いているようですね。
もう一つはUDPと呼ばれ、細かい制御は
アプリケーションに任せて
相手の応答を待ったりせずとにかく早く
一方的に送ってしまうやつ。
音声やビデオでの通話・配信なんかは、
相手の応答を待っていたらそのたびに止まったりして
見れたもんじゃないので、そういう場合は
こっちが向いているそうですよ。
この時にプロトコルが見て宛先を判断しているのは、
郵便物で言ったら宛先の氏名の部分。
コンピュータの中で動かしている、
どのプログラム宛に届いたものかを判断しています。
この氏名の部分のことをポート番号といいます。
郵便番号(AS番号)はBGP、住所(IPアドレス)はIP、
名前(ポート番号)はTCPやUDPが見ているってことですね。
メーカー認定資格
CCNAと呼ばれる認定資格があります。
上記の通信技術には、大半Ciscoという
メーカーの製品が使われているそう。
そのCiscoが直々に設けている資格で、
製品を扱う知識や技能を問うものです。
CCNAは入門資格で、実務経験を積めば
CCNPとか、段階的に設けられた上位資格に
チャレンジできるそうですよ。
試験の内容としては、
OSI参照モデルの第2層、第3層の通信についてや、
ネットワークにアクセスするしくみ、
無線接続、セキュリティなどが出題されるようです。
ネットワークエンジニアになろうと思ったら、
Ciscoについて知っておかないとなれないレベルで
製品は広まっているみたいですね。
登場したての頃のコンピュータは、
巨大で高価で操作も難しかったので、
データを持って専門のオペレーターに
処理を依頼しに行っていたとか、
一台のコンピュータに複数端末をつないで、
仮想的に分割して使ったりだとか、
そういう時代を経て、どんどん使いやすく進化して、
今や一人一台気軽に使えるようになっていったそう。
通信技術により、コンピュータ同士がつながり、
会社内・組織内にネットワークができ、
それらが外のネットワークとつながって広がり、
遠く離れた人とも瞬時にやりとりが
できるようになりました。
それにより、通信というのはコンピュータ間での
データのやり取りを通して、
離れた人と人を結ぶものへと進化していったんですね。
...っていういい感じのフレーズが、
参考にさせていただいたマスタリングTCP/IPの
テキストに書いてあったので、
受け売りとして置いておきます( ̄▽ ̄)
通信技術で人と人が結ばれることにより、
物理的な距離に関係なく精神的な距離が近くなり、
信頼関係を築いたり、アイデアが加速したり、
心の世界の充実にも貢献していると
言えるのではないでしょうか。
ということで、今回のレポートは以上です。
ではまた!
この記事の投稿者
入社間もない採用アシスタント兼広報担当。
学歴高卒/完全未経験で拾っていただき、日々勉強しながら&調べながら発信中。
とりあえずITパスポートは入社後3週間ちょいで取得済。
趣味は絵とカラオケと自転車(眺める専)、九州の実家には拾った猫3匹&カメ1匹が鎮座。
参考にさせていただいた書籍やサイト(順不同・敬称等略)
情報処理エンジニア職業ガイド / 豊沢 聡 / 大間 哲 ◎共著
マスタリングTCP/IP入門編第2版 / 竹下隆史 村井公保 荒井透 苅田幸雄 ◎共著
https://www.theport.jp/portcareer/article/37697/