IT業界の仕事とは/世界の誰でもソフトを使えるために~翻訳エンジニア編
身近に溢れすぎていて、意識しなくても触れているITの世界。
けれど、実際どんな分野があって具体的にどんな仕事をしているのか...
改めて問われると、言葉に詰まりませんか。
「PC使って仕事してるんでしょ...??」
から一歩抜け出すために、業界初心者が
同じ目線で職業レポートしていくシリーズです。
おおまかにまとめた分野タイプはこちら↓
一度流し読みしていただくと、業界の全貌がつかみやすいかもしれません。
このページの内容
ソフトウェアの翻訳について
・翻訳プロセス1:「国際化」について
・翻訳プロセス2:「現地化」について
・翻訳プロセス3:言葉の翻訳
翻訳エンジニアの役割
ソフトウェアの翻訳
例えば、海外の企業が開発した斬新なソフトウェアがあったとします。
それを日本でも導入したい!となるケースは多々あるでしょう。
ですが、例えばそのソフトウェアを開発したのが
普段英語しか使わない人だった場合。
できたソフトは、そもそも日本語に訳されていないのはもちろん、
英語のデータだとちゃんと使えるのに
日本語データを入れた途端動かなくなったり、
文字化けしてしまったりするそう。
日本語環境で使われることを全く想定されていないのですから、
当然と言われればそりゃそうなのですが...
こんな風にならないよう、
別の国や地域で開発されたソフトウェアでもちゃんと使えるようにする―
つまりソフトウェアの翻訳をする、という仕事があります。
翻訳作業は大まかに三つに分けられ、それぞれ名前がつけてあります。
「国際化」
「国際化」=「インターナショナリゼーション」
と呼ばれています。
これは、開発するソフト自体の機能をどんな国や地域でも動作させ、
同じように使えるよう保障することです。
ソフト内で表示されている言葉を訳す作業ではありません。
ソフトウェアの開発段階で、使われる国や地域に合わせて
どこが変換・変更されるのか考慮しながら設計します。
例えば、パソコンに文字を表示させるとき。
コンピュータは0か1しか理解してくれないので、
コンピュータに文字を分かってもらえるよう
一文字一文字に0と1の組み合わせで番号が振られています。
当然ですが、英語ではアルファベットが使われており、
日本語ではひらがな、カタカナ、漢字など多様&大量。
どの文字になんの番号を振っているかという対応規則、
「文字コード」も、違う種類のものが使われています。
この文字コードを、使われる国や地域を考慮して変換する
というのも国際化のひとつです。
これが上手くいっていないと、”文字化け”を起こしてしまいます。
たまに見かける、意味の分からない記号や
読み方の分からない漢字の羅列がそれです。
文字以外にも、アイコンやグラフィックスなど、
”この地域でフクロウのマークはよくない”
”この国でこのハンドサインは軽蔑”
など文化的な違いで変更されるケースもあるので、
そういったデータは変更しやすいよう外部ファイルに置いておくそう。
国際化は、上記のような文字コードの変換や、
変更する可能性のある情報ファイルの外部化、
地域によって違う日付や通貨・時間のフォーマット、
フォント、データの格納方法など、いろいろな部分に適応されるそう。
このような感じで、ソフトの機能自体が
他の国や地域でも動作するように準備していきます。
また、文字化け対策だけではなく、
開発する際に、あまり意識することなく国際化ができるような
開発の仕組みを整えたり、コードの書き方の提案、
業界標準仕様を提案したりもするようです。
ちなみに、国際化=インターナショナリゼーションですが、
Internationalization
→I18N
と呼んだりするそうです。
IとNの間に18文字あるからだとか。
なんだか読みにくい上逆に分かりにくいような( -`▵-)
「地域化」
「地域化」=「ローカライゼーション」or「ローカリゼーション」
と呼ばれています。
使用する地域に合わせる、という意味です。
日付や通貨・時間などは分かりやすく、
国や地域によって違うものが使われています。
例えばスマホを使う時、言語設定を変えるだけで、
画面表示が日本語になり、通貨記号は¥になり、
電話番号にはハイフン(-)が追加されますね。
住所も、日本では国→県→地域→町名→番地...
と大きい方から小さい方に書きますが、
英語圏では番地→町名→地域→...のように
小さい方から大きい方に書かれます。
使われる国や地域の法律や税金、慣習などに合わせて
ソフトウェアの機能や仕組みを適応させていきます。
このローカリゼーション(ローカライゼーション)も、
表示される言葉の翻訳をするわけではありません。
言葉そのものよりも、概念を変換していくイメージでしょうか。
ですが、翻訳家ではわからない
技術的な専門用語の変換は行うようです。
それぞれの国や地域に合わせ、ユーザーが使いやすく、
そして気持ちよく使えるようにしているんですね。
ちなみにこれも、
Localization
→L10N
と呼ばれるそうです。
I18Nと同じで、LとNの間に10文字あるからですね。
確かに文字にすると短いですが...;
翻訳家
これはしっかり、表示される言葉を訳す仕事です。
ユーザーが使う部分、メニューやエラーメッセージなどを
読めるように翻訳します。
コンピュータ技術について知識があった方が
それはもちろんいいのですが、
それよりも当然語学力の方が求められます。
L18N、L10Nと並び、
Translation
→T9N
と呼ぶこともあるそう。
もうこれくらい普通に言ってほしいところです。
日本にある外資系企業で、海外にある本社が開発した
ソフトウェアを導入するとか販売する、となった時。
開発時に国際化せず、考慮もされていないケースが
たくさんあったのだとか。
しかし日本人エンジニアは優秀で、
回避策を考えてその場をしのいでいたりするそう。
けれど、アップグレードなどには対応できなかったり、
その場しのぎ策があることで開発側が国際化を
頑張ってくれなかったりで、あまりいいことはないようです。
海外発のソフトウェアを日本でも使えるのも、
一連の翻訳準備設計→翻訳をしてくれているからなんですね。
せっかく斬新なアイデアが詰まったソフトや、
使えたら明らかに便利になるソフト、
面白そうな機能を備えたソフトなど...
開発された国や地域が違っても
潜在的な悩みが似ていて、それを解決する
糸口になるものはきっとたくさんあります。
せっかくの可能性に満ちた製品を
互換性がないからという理由で使ってもらえないのは
非常にもったいない!
使えることで助かる人も大勢増えることでしょう。
ソフトウェアの開発者と世界中のユーザーを結ぶ
大事な役割を、翻訳エンジニアは果たしているんですね。
というわけで、今回のレポートは以上です。
ではまた!
この記事の投稿者
入社間もない採用アシスタント兼広報担当。
学歴高卒/完全未経験で拾っていただき、日々勉強しながら&調べながら発信中。
とりあえずITパスポートは入社後3週間ちょいで取得済。
趣味は絵とカラオケと自転車(眺める専)、九州の実家には拾った猫3匹&カメ1匹が鎮座。
参考にさせていただいた書籍やサイト(順不同・敬称等略)
情報処理エンジニア職業ガイド / 豊沢 聡 / 大間 哲 ◎共著
https://www.liber.co.jp/it-career-laboratory/wa-002/